
昨日は、すみだトリフォニーホールでウクライナ出身のピアニスト、アンナ・フェドロヴァのコンサートが開催され、期待に胸を膨らませて会場に行き、裏切られることなく感動しました。
プログラムは以下の通りでした。
第1部:リサイタル
ムソルグスキー/組曲《展覧会の絵》
第2部:コンチェルト
ラフマニノフ/ヴォカリーズ(オーケストラのみ)
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
アンコール
ヴァレンティン・シルヴェストロフ/使者(ピアノ独奏版)
ピアノ:アンナ・フェドロヴァ(Anna Fedorova)
指揮:本名徹次
新日本フィルハーモニー交響楽団
どのように感動を伝えるべきか、どうしたら感激を伝えることができるのか、もどかしい気持ちでいっぱいですが、感じたことを紹介させてください。
演奏には小休止があったり、音が小さくなって無音になったりすることがあります。昨日の演奏では、その静寂が鬼気迫るものでした。おそらく、Apple Musicで味わえない、生の演奏でしか感じ得ないことなのでしょう。
それにしても、その静寂で会場も演奏そのものも引き締まりました。
アンナ・フェドロヴァのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番はロシアのウクライナ侵攻直前にリリースされ、5月5日にはピアノ協奏曲第3番がリリースされました。
この間にたくさんの辛いことがあったはずです。理由もなく、ある日突然に命を落とされた方もいたでしょう。
アンコール曲は「使者」でした。
日本語解説版によるアンナ・フェドロヴァのメッセージには、はっきりと「ウクライナのために」と書かれています。
第3番の演奏も、アンコールの演奏も、ウクライナの希望であったはずです。
亡くなられた方への黙祷もあったのでしょう。アンコール曲「使者」の演奏を右手を中空にとどめて終えた後、演奏が終わったというサインがあるまでの長い静寂。
そして、第2番の中の静寂は、やはりウクライナへの思いがあって、あれほどまでに迫ってきたのでしょう。
残念ながら、演奏時の録音や動画がなくてお伝えできないのですが、代わりにロシアの侵攻直前にリリースされたラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番をお聞きください。そして新たにリリースされた第3番のアルバムにカップリングされた「使者」(The Messenger)もぜひお聞きください。
