序章
歴史を振り返ると、大きなパンデミックの後には必ず文化の刷新が訪れてきました。
14世紀のペストはルネサンスを、スペイン風邪は1920年代のジャズと多様化を呼び込みました。
そして21世紀のコロナ禍は、クラシック音楽を新たな局面に導いています。
ペストとルネサンス
ペストで人口が激減した後、人間中心主義が芽生え、芸術が宗教的閉鎖から解放されました。
音楽でもジョスカンらが多声音楽を発展させ、表現が豊かに広がりました。
スペイン風邪と「狂騒の二十年代」
1918年からのスペイン風邪の後、音楽は軽快で雑多な方向に開かれました。
ストラヴィンスキー《兵士の物語》:小編成の試み
ジャズの流入:ラヴェルやミヨーに影響
新古典主義:古典形式の再解釈
コロナと現代クラシック
2020年のコロナ禍は、演奏会を停止させる一方、オンライン配信やSNS発信を急速に広めました。
結果として、クラシック音楽には二重構造が生まれました。
ホールで味わう「深奥で閉鎖的」体験(ワーグナー的世界)
ネットで触れる「開放的で雑多」な体験(プッチーニ〜映画音楽的世界)
調雅子 ― 人間中心の発信
調雅子さんは、YouTubeやInstagramで演奏に加えて日常や人柄を発信。
聴衆にとって音楽が「遠い芸術」ではなく「隣人の声」のように届く存在となりました。
これはルネサンスの人間中心主義の現代的再生ともいえるでしょう。
金川真弓 ― 雑多性の受容
金川真弓さんは、ロックダウン中も国際的活動を継続し、民族楽器(三味線との協奏曲)やクロスオーバー作品に挑戦。
伝統的クラシックの枠を拡張し、音楽の雑多性を積極的に取り込んでいます。
これは1920年代のジャズ受容と響き合います。
結論
歴史のパターンは繰り返されています。
ペスト後のルネサンス、スペイン風邪後のジャズ、そしてコロナ後のクラシック。
調雅子さんと金川真弓さんの活動は、クラシックの閉鎖的伝統を打ち破り、新たな未来へ橋を架けるものです。
参考リンク
調雅子 Masako Shirabe
Instagram: https://www.instagram.com/masako_violin/
YouTube: https://www.youtube.com/@masakoshirabe
金川真弓 Mayumi Kanagawa
公式サイト: https://www.mayumikanagawa.com
Instagram: https://www.instagram.com/mayumi_kanagawa/
YouTube: https://www.youtube.com/@ongaku831
Elbphilharmonie公演案内: https://www.elbphilharmonie.de/en/whats-on/stuttgarter-kammerorchester-mayumi-kanagawa-martynas-levickis-susanne-von-gutzeit/23050
スケジュール: https://www.mayumikanagawa.com/schedule
